AI POLICY | VERSION 1.0

AIポリシー

当法人は、介護・ダイバーシティ領域でのAI活用において、
責任あるガバナンスを自主的かつ体系的に実装する。

制定日 令和8年(2026年)5月1日 発行 一般社団法人ケア・ダイバーシティ・ラボ 代表理事 小濱 道博 準拠 AI事業者ガイドライン(第1.2版)
本ポリシーは、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日公表)、および AI推進法(令和7年法律第53号)に即した、自主的な実装表明である。法令上の認証制度に基づくものではない。ただし「自主的」とは「任意」を意味せず、本ポリシー各条項は当法人が組織的に遵守する規範である。
TABLE OF CONTENTS
目次 — 全12章・35条
  1. 前文
  2. 第1章 基本理念
  3. 第2章 適用範囲と役割
  4. 第3章 共通の指針
  5. 第4章 リスクベースアプローチ
  6. 第5章 入力禁止情報
  7. 第6章 著作権・知的財産権
  8. 第7章 介護・ダイバーシティ特有の配慮
  9. 第8章 責任分界と最終判断
  10. 第9章 インシデント対応
  11. 第10章 教育・リテラシー
  12. 第11章 継続的改善
  13. 第12章 問い合わせ窓口
  14. 附則(施行・改訂履歴・参照規範)
PREAMBLE

前文

Preamble

一般社団法人ケア・ダイバーシティ・ラボ(以下「当法人」という。)は、介護・福祉分野におけるダイバーシティの推進と、人工知能(以下「AI」という。)技術の責任ある活用を通じて、高齢者・要介護者・外国人介護人材・多様な背景を持つ全ての関係者が尊厳をもって共生できる社会の実現を使命とする。

当法人は、AIが介護現場にもたらす便益——業務効率化、判断支援、記録負担軽減、外国人職員の言語支援、予測ケアの高度化等——を積極的に享受する一方で、AIの誤用が要配慮個人情報の漏洩、人権侵害、誤った制度判断、職員・利用者の自律性の侵害といった重大なリスクを惹起し得ることを深く認識する。

そこで当法人は、総務省・経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日公表)、および「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年6月4日公布、同年9月1日全面施行。以下「AI推進法」という。)に即して、自主的かつ体系的なAIガバナンスを実装する。

本ポリシーは、当法人の役員・職員、および当法人が関与するあらゆるAI関連事業(開発・提供・利用)に適用される。

CHAPTER 01

基本理念

Fundamental Philosophy
第1条(人間の尊厳)

AIは、人間の尊厳を支えるための道具であって、人間の判断・責任・尊厳に取って代わるものではない。当法人は、要介護者・その家族・介護職員・外国人職員その他全ての関係者の尊厳を最優先とし、AIによる効率化が尊厳を損なう場面ではAIの使用を控える。

第2条(多様性と包摂)

AIは、性別・年齢・国籍・宗教・言語・性的指向・性自認・障害の有無・雇用形態にかかわらず、全ての人の公平な参加と恩恵を支援するよう設計・運用される。当法人は、多様性をコストとしてではなく価値として扱い、AIがマイノリティを排除・差別することのないよう継続的に検証する。

第3条(責任の保持)

AIの出力に関する最終責任は常に人間が負う。当法人は「判定はコード、文章化はAI、最終判断は人間」を不可侵の原則とし、この原則を組織文化として内在化する。AIが自律的に判断したように見える場合であっても、その運用を選択したのは人間であり、責任も人間に帰属する。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 02

適用範囲と役割

Scope and Roles
第4条(適用範囲)

本ポリシーは、次に掲げる全ての活動に適用する。

  • 当法人の役員・職員・委託先がAI(生成AI、RAG、AIエージェント、フィジカルAIを含む)を業務で利用する全ての場面
  • 当法人がGemini GEM、NotebookLM、ChatGPT、Claude、その他の基盤モデルをカスタマイズして構築する全てのチャットボット・Pod・AIツール
  • 当法人が提供するCAMP(Care AI Management Professional)講座、研修、コンサルティング等、AIの活用を推奨ないし教示するサービス
  • 当法人が公表する書籍・コラム・講演資料・動画・マンガ等、AIを用いて制作される全ての成果物
第5条(役割区分の宣言)

当法人は、AI事業者ガイドライン第1.2版における主体区分に照らし、自らを次のとおり位置付ける。

  • AI提供者:Gemini GEM・NotebookLMをカスタマイズして構築した「CDL記録Pod」「外国人職員支援Pod」「加算点検Pod」等を顧客に提供する。
  • AI利用者:業務遂行、原稿執筆、資料作成、画像生成のために複数の基盤モデル(Claude、ChatGPT、Gemini等)を日常的に利用する。
  • AI開発者(限定的):基盤モデル自体の開発は行わないが、知識ファイル・システムプロンプトの設計というカスタマイズを行うため、AI事業者ガイドライン上は一部「開発者」に準ずる立場となることを認識する。
◆ ◆ ◆
CHAPTER 03

共通の指針

Common Guidelines
第6条(人間中心)

AIは人間の能力を拡張する道具として位置付け、憲法が保障する人権および国際的に認められた人権を侵さない。特に、要介護者・外国人職員・LGBTQ+等の脆弱性を有しうる立場の者に対する影響を優先的に検討する。

第7条(安全性)

AIに関わる全ての者の生命・身体・財産・精神および環境に危害を及ぼさないよう、運用前リスク評価を実施する。介護現場における転倒予測・服薬支援等の安全性が人命に直結する用途については、特に慎重な検証を行う。

第8条(公平性)

潜在的バイアスの排除に留意し、避けられないバイアスが存在することを認識した上で、その影響を人権および多様な文化を尊重する公平性の観点から評価する。外国人職員の出身国・宗教による処遇格差、要介護者の性別・家族構成によるサービス格差等を定期的に点検する。

第9条(プライバシー保護)

個人情報の保護に関する法律および関係法令を遵守する。特に、要介護者の病歴・要介護認定・家族状況・宗教等の要配慮個人情報、および外国人職員の在留資格・出身・宗教等の情報について、詳細な入力制限ルール(第18条)を設ける。

第10条(セキュリティ確保)

不正操作によるAIの振る舞いの変更や停止を防止する。基盤モデル提供事業者の利用規約・学習利用の有無・データ保存場所を都度確認し、特に法人契約版(ChatGPT Enterprise、Claude for Work、Gemini Workspace等)の利用を原則とする。

第11条(透明性)

AI自体やAIシステム・サービスの情報を、ステークホルダーに対して合理的で技術的に可能な範囲で提供する。当法人が公表するコラム・書籍・研修教材においてAIを活用した場合、当該活用の事実を明示する。

第12条(アカウンタビリティ)

データの出所、AIの意思決定等のトレーサビリティに関する情報、およびリスクへの対応状況について、関連するステークホルダーに対して合理的な範囲で説明責任を果たす。

第13条(教育・リテラシー)

役員・職員全員に対し、年1回以上のAI倫理・リスク教育を実施する。CAMP(Care AI Management Professional)講座を通じて、介護事業者・行政書士・税理士・社会保険労務士等の外部ステークホルダーにもAIリテラシー向上の機会を提供する。

第14条(公正競争確保)

AI活用を通じた事業競争において、独占禁止法および関連法令を遵守し、情報の不当な囲い込みや、AIによる価格調整の示唆を行わない。

第15条(イノベーション促進)

介護分野における過度な萎縮によるAI活用機会の喪失もまた社会的損失であると認識し、適切なリスク管理の下で積極的なAI活用を推進する。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 04

リスクベースアプローチ
(ティア分類)

Risk-Based Approach — Tier Classification
第16条(ティア分類の原則)

当法人は、AI事業者ガイドライン第1.2版が求めるリスクベースアプローチを実装するため、全てのAI利用業務を以下の3ティアに分類する。ティアが上がるほど統制は厳格となる。

ティア 対象業務 AIの役割 統制強度
Tier A
高リスク
加算算定・算定根拠の特定、介護給付費請求、実地指導対応、契約書の法的判断、外国人職員の雇用・解雇判断 AIの直接使用は原則不可。資料整理・類似事例検索のみ可能。 人間による全件確認必須。入出力ログを保管。
Tier B
中リスク
LIFE入力原案作成、BCP文書起案、外国人職員向け多言語説明資料作成、研修教材のドラフト作成 AI生成物を起案に活用可能。ただし人間レビューを経て確定。 人間によるレビュー必須。要配慮個人情報の入力禁止。
Tier C
低リスク
社内議事録要約、アイデアスケッチ、用語集作成、一般的な情報収集、スライド構成案作成 AIを能動的に活用。効率化・品質向上を積極的に追求。 通常業務の範囲内。個人情報・営業秘密は入力禁止。
第17条(ティア判定の責任)

各業務のティア判定は、当該業務を担当する役員または職員が一次判定を行い、AIガバナンス担当役員が最終承認する。判定に迷いが生じた場合は、より厳格なティアを適用する。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 05

入力禁止情報と
要配慮個人情報の取扱い

Prohibited Input and Sensitive Personal Information
第18条(入力禁止情報)

次に掲げる情報は、学習利用を明示的に拒否できる法人契約環境を除き、外部生成AIへの入力を一律禁止する。

  • 要介護者およびその家族の氏名・住所・連絡先等の識別可能な個人情報
  • 病歴、要介護度、障害の有無、服薬情報、認知症の進行状況等の要配慮個人情報
  • 外国人職員の在留カード情報、パスポート情報、出身地・宗教・家族状況の詳細
  • 顧問先および提携先の未公表の経営情報、財務情報、訴訟関連情報
  • 会計事務所顧問先の確定申告データ、税務情報、給与台帳
  • 法人間の秘密保持契約(NDA)の対象となる情報全般
  • パスワード・APIキー・認証トークン・暗号鍵等のクレデンシャル情報
第19条(例外運用の条件)

第18条の禁止は、次の全ての条件を満たす場合に限り、AIガバナンス担当役員の書面承認をもって例外運用を認める。

  • 入力データが学習利用されない契約(法人契約版、Zero Data Retention契約等)が締結されていること
  • 対象者の明示的な同意、または個人情報保護法上の適法根拠があること
  • 匿名化または仮名化の措置が講じられていること
  • 入出力ログの保全、および目的達成後の削除手順が定められていること
◆ ◆ ◆
CHAPTER 06

著作権・知的財産権への配慮

Copyright and Intellectual Property Considerations
第20条(学習段階の論点)

当法人は、基盤モデル自体の学習に関する論点には直接関与しないが、文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月公表)を参照し、当法人が用いる基盤モデルの学習データに重大な問題があると判断される場合には、当該モデルの使用を停止する。

第21条(生成段階・利用段階の論点)

AIを用いて画像、マンガ、動画、書籍原稿、研修教材、記事草案等を制作する場合、次の確認フローを実施する。

  • 出力物が既存著作物に依拠または類似していないかを、類似画像検索・類似テキスト検索等により確認する。
  • プロンプトにおいて特定作家・特定作品の名称を直接指定することを原則として避ける。
  • 第三者素材を学習またはプロンプトに含む場合、利用許諾条件および商用利用可否を事前に確認する。
  • 生成物を商用利用する場合、ナノバナナPRO等の生成ツールの利用規約を都度確認する。
◆ ◆ ◆
CHAPTER 07

介護・ダイバーシティ領域
特有の配慮

Special Considerations for the Care & Diversity Domain
第22条(外国人職員に対する配慮)

AIを用いて外国人職員向けの説明資料、研修教材、勤務指示を生成する場合、次の事項に留意する。

  • AIによる自動翻訳の精度は完全ではないため、重要な雇用条件・安全指示・契約内容については、人間の翻訳者または日本語・対象言語の双方に精通した者による最終確認を経ること。
  • 宗教的・文化的配慮(イスラム教の礼拝時間、ハラール食、キリスト教の日曜礼拝等)について、AIの出力が不適切または偏ったものとなっていないか点検すること。
  • 育成就労制度・特定技能制度等の在留資格に関する情報について、AIが誤った情報を生成する可能性があることを前提に、出入国在留管理庁の公式情報との突合を必須とすること。
第23条(要介護者の尊厳と自律)

AIを用いた要介護者の予測ケア(転倒予測、認知症進行予測、離院予測等)を設計・推奨する場合、次の事項を遵守する。

  • 予測結果は参考情報として扱い、ケアプランの変更や身体拘束・行動制限の根拠として単独で用いないこと。
  • 要介護者本人およびその家族に対し、AI活用の事実、活用範囲、拒否権の存在を説明すること。
  • AIの予測によって要介護者の個性・生活歴・人格が画一化・単純化されることのないよう注意すること。
第24条(LGBTQ+および多様な背景への配慮)

AIを用いた採用支援、職員配置、研修資料作成において、性別・性自認・性的指向・年齢・自衛隊除隊歴等に基づく差別的出力が生じないよう、定期的にバイアス検証を行う。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 08

責任分界と最終判断

Demarcation of Responsibility & Final Judgment
第25条(黄金律)

当法人は、AI活用の黄金律として次の原則を掲げ、全業務に適用する。

THE GOLDEN RULE
判定はコード、文章化はAI、最終判断は人間
"Determination by code, articulation by AI, final judgment by humans."
第26条(責任分界の具体)

当法人が提供するAIツール(Pod等)の出力に基づいて顧客が下した判断に関する責任は、原則として顧客に帰属する。ただし、当法人のシステムプロンプト設計または知識ファイルに重大な瑕疵があった場合、当法人は合理的な範囲で責任を負う。この責任分界は、顧客契約・利用規約に明記する。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 09

インシデント対応

Incident Response
第27条(インシデントの定義)

本ポリシーにおけるインシデントとは、次に掲げる事態をいう。

  • AIの出力により、要配慮個人情報が外部に漏洩した事態
  • AIの出力が誤った制度解釈を示し、顧客の加算算定または介護給付費請求に誤りを生じさせる恐れが生じた事態
  • AIの出力が差別的・人権侵害的な内容を含み、被影響者またはその家族から指摘を受けた事態
  • AIの生成物が第三者の著作権その他の知的財産権を侵害している疑いが指摘された事態
第28条(対応フロー)

インシデント発生時の対応は次のとおりとする。

  • 発見者は、直ちにAIガバナンス担当役員に報告する。
  • AIガバナンス担当役員は、当該AIの使用を一時停止し、影響範囲を特定する。
  • 必要に応じて、個人情報保護委員会、被影響者、関係行政機関への通知を行う。
  • 原因分析を行い、再発防止策を策定する。必要に応じて本ポリシーを改訂する。
◆ ◆ ◆
CHAPTER 10

教育・リテラシーの向上

Education and Literacy Improvement
第29条(内部教育)

役員・職員全員に対し、次の内容を含む研修を年1回以上実施する。受講記録は3年間保管する。

  • AI事業者ガイドライン第1.2版の概要と更新点
  • 本ポリシーの各条項(特にティア分類と入力禁止情報)
  • AI活用のインシデント事例(国内外)
  • ハルシネーションの具体例と検知方法
第30条(外部教育:CAMP講座)

当法人は、CAMP(Care AI Management Professional)講座を通じて、介護事業者、経営コンサルタント、税理士、社会保険労務士、行政書士等の外部ステークホルダーに対し、AIガバナンスのリテラシー向上機会を提供する。これは当法人の社会的責務の一部であると位置付ける。

◆ ◆ ◆
CHAPTER 11

継続的改善
(アジャイル・ガバナンス)

Continuous Improvement — Agile Governance
第31条(見直しサイクル)

本ポリシーは、次の事由のいずれかが発生した場合に見直しを行う。通常時にあっても、少なくとも年1回の定期見直しを行う。

  • AI事業者ガイドラインの改訂(第1.3版以降の公表)
  • AI推進法に基づく政令・基本計画の改訂
  • 個人情報保護法、著作権法の改正
  • 重大なインシデントの発生
  • AI技術(特にAIエージェント、フィジカルAI)の重大な進展
◆ ◆ ◆
CHAPTER 12

問い合わせ窓口

Contact Window
第32条(問い合わせの受付)

当法人のAI活用に関する問い合わせ、苦情、出力の誤りの指摘、権利侵害の申立ては、次の窓口で受け付ける。当法人は受領後、原則として10営業日以内に一次回答を行う。

📮 問い合わせ窓口

Website
https://care-diversity-lab.com/
メール
info@care-diversity-lab.com
郵送
〒110-0016 東京都台東区台東1丁目14-10-801
電話
03-6284-4086
◆ ◆ ◆
APPENDIX

附則

Supplementary Provisions
第33条(施行)

本ポリシーは、令和8年(2026年)5月1日より施行する。

第34条(改訂履歴)
日付内容
第1版令和8年5月1日制定
第35条(参照した規範・指針)

本ポリシーの策定にあたっては、次の規範・指針・ひな形を参照した。

  • 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日公表)
  • 「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)
  • 日本ディープラーニング協会(JDLA)「生成AIの利用ガイドライン」第1.1版および画像編
  • 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月公表)
  • 神戸市AI条例(令和6年制定)のリスクアセスメント手法
  • 富士通株式会社「AI倫理影響評価」手順書および「Fujitsu AI倫理かるた」
  • ISO/IEC 42001:2023(AIマネジメントシステム)の要求事項構造
← ホームに戻る